往来物手習い

むかし寺子屋では師匠が書簡などを元に往来物とよばれる教科書をつくっていました。
寺子屋塾&プロジェクト・井上淳之典の日常と学びのプロセスを坦々と綴ります。


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私が桜沢如一から学んだこと

マイミクのタオさんが、先般ブログ(日記)の中でマクロビオティックの創始者・桜沢如一の次の言葉を紹介されていました。

「どんな小舞台でも小劇場でもいい、自分で作れ。
 自分で舞台を作った人とは、追放されたり排斥されたりしない人のことだ。 君でなくてはならない、といわれる位置を作り上げることだ。
 小僧でも門番でも発表係でも何でもいい。その主になることだ。
 そして一つの舞台を作ったら、さらに大きい舞台を作り上げることだ。」


このblogにも、しばしばマクロビオティックのことを取りあげていますが、私の重要な原点となっているので、再々度になりますが書いておきます。


私が桜沢如一と出会ったのは私が23歳の時。

最初に読んだ『永遠の少年』という彼の著書は、その当時苦しんでいた病気から回復する糸口が得られたのみならず、その後の私の人生に決定的な影響を与えた重要な本です。

この本は戦後間もない1952年の著作(桜沢が59歳のとき)で、 若き少年少女達に向けて書かれていて、 私は今までに数え切れないほど繰り返し読んでいますが、読み返すたびに新しい発見がある不思議な本でもあります。


『永遠の少年』から少し引用します。

 とにかく自由で幸福な人になる秘密は、おくりものばらまく人になることをけいこし、そして、ついに、とこしえの、そして、つきせぬ喜び(福音)をばらまく人になることです。とこしえの喜びは、まず健康です。健康になる方法をおくりものにすることは、誰にでも喜ばれます。それから、記憶力をよくする法、判断力をつよくする法、実行力をつよくする法、万人に愛され好かれる法、さいごに無限の自由、永遠の幸福、最高絶対の正義と平和、最大の愛……などを、おくりものにすることです。
 それには、まず君自身がこれらを身につけなくてはなりません。いや、身につけて生まれてきたのですが、それを自由に発揮する方法を忘れているのです。それを思い出す方法を君に話すのがこの本のねらいです。君がこの本をよく読みこなし、最後の実験法を実地に身をもって、ためしてみることを私は切望します。
 さいごにはっきりいっておきますが、おくりものをすることは遊びであって、けっして世のため、人のためなどという、ぎこちない義務や道徳ではありません。また、感謝されたい、というような気分でもいけないのです。そんなのは偽善であり、商売であり、詐欺であり、インチキです。おくりものをするのは、自分が自由な幸福な人になるためのトレーニング(鍛錬)なのです、義務だとか道徳だとか思っている間は、ぜったいにできません。かりにできたとしてもムダです。実は感謝されても、もう失敗です。(『永遠の少年』p22〜23より)



1992年の春、進学塾を辞めて上京した時、
私は桜沢がつくった自然食普及団体の研修生となったのですが、
その団体の名前は、「日本CI協会」といいます。

このCIというのは”Corporated Identity”
という連語の省略形として使われることが多いのですが、
日本CI協会の場合は、Center of Ignoramus(馬鹿者の集まり)
という意味です。

そんな団体で1年お世話になって、
バカになる方法をしっかり身につけさせて頂いたためか、
私は今も順調にその路線を歩んでいるようですが・・・(笑)。


ところで、マクロビオティックには「基本食」と呼ばれる食事の指針があり、
「永遠の少年」の本の中にも後半に次のように記されています。


A.取らないもの
(1)肉、魚、鶏等をやめる。(菜食主義)
(2)水分をできるだけ少なくすること。(一日のうち四回以上は小便に行かない程度にせよ)ウリ、トマトはとるな。(身体に必要な塩分が消されるから)
(3)果物といも類はとるな。
(4)甘いもの一切を厳禁。

毎日の食事は次の原則に従うこと。
B.基本食
(1)なるべく玄米、半つき米、麦飯(なるべく麦を多くすること)、粟、ひえ、きび、そばを主食とせよ。
(2)お菜はたいてい、ゴボウ、にんじん、レンコン、ネギ、タマネギ、ゴマ塩などよし。
(3)味付けは、塩を油がいちばんよろしい。油はゴマ、ナタネ油、塩は自然塩、みそ、しょうゆは天然醸造のものを。(ソースもいけない)
(4)なるべく加工食品(豆腐、つくだ煮、福神漬、缶詰め、かまぼこ等)はとるな。
(5)酢とすっぱいものをとらないこと。
(6)出し昆布は使ってよろしい
(7)1口(10グラム)を少なくとも30回噛むこと(病気のある人、フランクリン、リンカーン、ファラデー級以上の人に早くなりたい人は、1口を50回以上かむこと100回でも200回でもよい。ネギ1きれを1300回かんだ少女がある)
(8)おかずを主食の4分の1か5分の1にせよ。(10分の1でもよろしい)
(以上「永遠の少年」P.120〜121より)



ところで皆さんは、『守・破・離』という言葉をご存知ですか?

これは、人間が学んでいく姿勢、態度について、成長していくプロセスに従って示したものとされ、簡単に説明すると次のような意味です。

第1段階は、師匠の教え(型)を守り正しく身につけること。
第2段階は、その教えを用いて身をはたらかせ工夫すること。
(師匠の教えを破るという意味ではない)
最後の段階では、自由自在に身を演じること。
(師匠の教えから離れるという意味ではない)

原典は、古い禅の言葉のようですが、 能楽や茶道、武道などの様々な世界に伝わり応用されてきました。


たとえば、千利休には、

規矩作法 守り尽くして 破るとも 離るるとても もとを忘るな

という歌が残されています。


基本食メニューの続きに、桜沢は次のように記しています。

 
以上をわずか1ヶ月つづけてみたまえ。こんなに、簡単な、金のかからない、どこでも、誰でも、いつでも、やれることを正確に実行出来ないくらいなら、もう楽しい、楽しい、自由な面白い、すばらしい人生を送るなど、大それた考えはすててしまった方がよろしい。
 以上を1ヶ月間つづけたら、あとは自由にやってよろしい。ただし、なるべくAとBをふみはずさないようにし、原則として忘れないこと。
 以上を1ヶ月間正確に実行したら、諸君のようにはたらく少年少女は、きっと、きっとすばらしい生理的変化が起こります。まず第1に頭がすっきりしてきます。
(2)記憶力がうんと冴えてくる
(3)疲れがなくなる。(朝早く目が覚める、風邪をひかなくなる)
(4)根気がいくらでも続く。
(5)夢を見なくなる。(いねむりをしなくなる。6時間以内の眠りで充分になる)
(6)判断力が敏速になる。
(7)実行力が大きくなる。
(8)作業能率がグーッと上がる
      (「永遠の少年」P.121〜122より)



私はこれを23歳の時に実行したのですが、2〜3ヶ月経た頃にはここに書かれているような生理的変化が 本当に私の身体に起こっていました。

それで私はマクロビオティックにはまってしまったのですが、 桜沢の世界はあまりにも広大深淵で、 私にとっては長い間抜け出せない大きな部屋のようなものだったと感じています。


実は、後に記された

「1ヶ月つづけたら、あとは自由にやってよろしい」

という桜沢の言葉が実はとても大きなポイントで、 まさしく「守・破・離」のステップを暗示していたのだと気づくのに 私の場合は20年以上の長い時間が必要でした・・・というより、 単に鈍かっただけなんでしょうけど(笑)。

とは言え、現実には私のように、医者に見放されるようなやっかいな病気にでもならない限り、 この1ヶ月間の基本食をまじめに実践してみようという人も、 私のまわりにはなかなか現れないので守・破・離の守以前の問題なのですが・・・

玄米菜食の限界、デメリットを充分考慮した上で書いてるのですが、この基本食を、ちゃんとした指導者のもとで 1ヶ月きっちりやってみることは(1ヶ月以上やる必要はないので) 上記の桜沢の本の記述にもあるように、生理的、精神的変化をもたらすことが多いですし、 自分の体調管理が医師や薬に頼らずほぼ自分でできるようになってくるなど、 とっても大きなメリットがあると思います。

もし、やってみようというご奇特なお方がいらっしゃいましたら、ご一報下さい。


病気になったとき、それを病院や薬局に頼ることがいつまでも可能であるならば、たぶんこういうことは必要ないでしょう。

でも、今ある医療のシステムが、5年後10年後20年後にそのまま続いているという保証がありますか?

posted by 23:31comments(0)trackbacks(0)pookmark


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