往来物手習い

むかし寺子屋では師匠が書簡などを元に往来物とよばれる教科書をつくっていました。
寺子屋塾&プロジェクト・井上淳之典の日常と学びのプロセスを坦々と綴ります。


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NPOのこれまで10年・これから10年

来年2008年はNPO法の制定・施行から10周年となります。

それで、雑誌「NPOマネジメント」から、NPO法10周年を記念しての特集号に対するアンケート調査の協力依頼がありました。

問いは以下の4つです。
Q1.1998年から10年間の良い変化3つと、その理由・背景
Q2.1998年から10年間の悪い変化3つと、その理由・背景
Q3.2008年からこれからの10年間を見通してNPOは何をすべきか
Q4.NPOが備えておくべき、これからの出来事


10年を総括する内容の設問で、すぐには思い浮かばず、あれやこれやといろいろ考えた結果、次のような内容の答えに落ち着きました。

Q1.あなたが考える、1998年から10年間の良い変化3つと、その理由・背景について教えてください。
(特定の団体・地域に関することではなく、日本のNPO共通のことがらとして考えられるものについてお答えください)

1.旧来閉鎖的になりがちだった学校教育の場に、NPOが様々な形で関わりを持てるようになり、学校が地域社会に開かれた場になりつつあること
【その理由・背景】
・NPO法やコミュニティスクール法の成立
・学校運営主体の規制緩和
・学校5日制の実施など

2.NPOという存在に対する認知が広がり、行政や企業との接点や協働するチャンスが増えたこと
【その理由・背景】
・NPO法や地方分権一括法の成立
・政府、地方自治体の財政難
・営利第一主義の見直しや平成の構造不況など

3.情報を受発信できる環境が地球的規模で整い、情報共有がスピーディで低コストになっただけでなく、SNSのような双方向性を重視したメディアが出現したこと(Web2.0)
【その理由・背景】
・インターネット通信回線の普及と高速化、低価格化
・ホームページ、ブログの一般化など


Q2.あなたが考える、1998年から10年間の悪い変化3つと、その理由・背景について教えてください。
1.若者達が安心して働ける場所が少なくなっていること
【その理由・背景】
・長期に続いた不景気を乗り切るため、時間とお金のかかる人材育成を後回しにして利益主義に走らざるを得ない企業が増加し、雇用環境が流動化した結果、若者たちにとって生活の基盤となる働きがい、生きがいを感じられる職場が激減した。
・ NPOが若者達の雇用の受け皿になることが一部で期待されたが、現実には、NPOで働いてちゃんとメシが食える若い人材は少なく、低賃金で重労働(長時間勤務もしくは激務)の現場が増えている
・ 長期的ビジョンの裏付けがない安易なNPO支援策の横行

2.NPOに対する社会的な認知度は上がった一方で、安上がりの下請け団体、ボランティアだけの集まりといった、NPOに対する誤解や偏った認識が広がっていること
【その理由・背景】
・NPO法が成立した意義に対する無理解や、法自体の制度的な欠陥
・行政側や企業側の認識不足
・ NPO自身の経営リソース不足等から情報発信力が弱く、多くの人に対して開かれた透明性のある活動になっていないNPOが多いこと
・ NPOに関わる人の絶対数は期待されていたほど増えてはいないし、活動の裾野はそれほど広がっていない
・ 草の根的で地道な活動がベースとしてあったNPOが、特別な存在であるような取りあげ方をされたことで、単にNPOであるだけで良い活動をしているような印象(錯覚)を与えてしまったこと
・ NPOという言葉が一人歩きをしてNPOに対する過剰な期待や幻想が先行したこと(非営利という枠組みはあくまで一つの側面にすぎないのに、それがあたかも万能であるかのような錯覚をまわりに与えてしまった)
・ 行政から協働の名のもとに降りてくる委託事業に振り回されて、本来のミッションを見失ってしまったり、お金が絡んでくることで、人間関係がぎくしゃくしてしまった組織も出現したりしている

3.個人情報の取扱が難しくなり、NPOにとって活動そのものに支障を生じたり、ゆるやかなネットワークの形成や地域コミュニティ内でのつながりを促進する妨げとなったりしている
【その理由・背景】
・ 本来プライバシーの保護や個人情報の悪用や商品化を防ぐ目的で制定されたはずの個人情報保護法が誤認され、拡大解釈や過剰反応を引き起こしている
・ インターネットの普及により、情報の取扱いに対して、より細かな配慮と高いスキルが求められるようになってきたこと


Q3.2008年からこれからの10年間を見通して、NPOは何をすべきだと思いますか。

・市民が主体となった自発的な非営利活動の文化を義務教育の段階から浸透させていくこと(シティズンシップ教育の推進であって、ボランティア活動を子どもたちに義務づけることではありません)
・NPOで働くことが、企業や行政で働くことと同等に扱われ、ごく普通に生活できる環境づくりと、そうした場で活躍する若い人材を育てていくこと


Q4.NPOが備えておくべき、これからの出来事について教えてください。
・食糧危機
・地方自治体の倒産
・日本国家の経済破綻
・大地震や大型台風などの自然災害

posted by 23:00comments(0)trackbacks(0)pookmark


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