往来物手習い

むかし寺子屋では師匠が書簡などを元に往来物とよばれる教科書をつくっていました。
寺子屋塾&プロジェクト・井上淳之典の日常と学びのプロセスを坦々と綴ります。


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ピアノ曲「冬のロンド」

久しぶりに音楽の話題です(6月5日の続きです)

戸島美喜夫さんという1937年生まれで名古屋在住の作曲家がみえます。

もう27年も前のことですが、1980年の秋に「絵とき唄ときバナナ食民地」というタイトルの戸島美喜夫さんの作品ばかりを集めたコンサートが名古屋でありました。

私が高橋悠治さんの演奏を生で聞いたのは、まだ高校3年生だった1978年2月14日のことで、その後しばらくはすっかり彼の演奏に参ってしまって、いわゆる「追っかけ」をやっていたのですが、その彼が名古屋でピアノを弾くというので、当然出かけました。

そのとき悠治さんは、戸島美喜夫さんのピアノソロ作品「ヴェトナムのこもりうた」「柿むき」「冬のロンド」の3曲を演奏しました。

この最後に演奏された「冬のロンド」という曲は、水上勉の戯曲『冬の柩 〜古河力作の生涯〜』の劇伴音楽として戸島さんが作曲したものを、ピアノソロ用にアレンジしたということで、添田唖然坊の「ああ金の世」の唄を素材にしてつくられたものだったのです。

この「冬のロンド」は、最後に掌や肘を使ってクラスター(音のカタマリ)を演奏する部分が強烈で、メチャクチャインパクトを受け、このコンサートをプロデュースされたYさんにコンサートの後にすぐ手紙を書き、ピアノの譜面をコピーして送って頂いたのです。

譜面をみると、それほど難しくはなく、私でも手に追える曲だったので、1ヶ月ほどの練習で弾けるようになり、今でも譜面を見ながらであれば演奏可能です。

ただ、ソステヌートペダル(一部のグランドピアノにしかついていない真ん中のピアノ)を使うので、ソステヌートペダルがないピアノでは、作曲者の意図通りの演奏ができないのが玉に瑕ですが。

でも、この曲を好んで聴きたいと思うような人はあまりいないでしょうね(笑)。

コロンビアから出ている「現代日本ピアノ音楽の諸相(1973-83)」というタイトルのCDの中に収録されています。

また、YouTubeで、江村夏樹さんというピアニストが「冬のロンド」の演奏を公開していますので、CDを買わずに聞いてみたい人はこちらをご覧下さい。

※追記 高橋悠治さんが戸島美喜夫さんのピアノ曲ばかりを1枚のCDに収めた作品集を2009年に録音しました。こちらをご覧下さい。

posted by 23:55comments(2)trackbacks(0)pookmark


この記事に対するコメント











こんばんは。江村です。
偶然見つけたので書き込みします。
戸島さんの曲の演奏を聴いていただいてうれしいです。
音源は現在サーヴァー上にあるので、お聴きになりたい方はこちらにアクセスしてください。
http://www.taikodo.org/winterRondo.ram

戸島さんは寡作ですが、どの曲も優れています。
江村夏樹 | 2010/01/16 11:14 PM


江村さま はじめまして!
曲を演奏されたご本人からコメントを戴き、大変うれしく思っています。

今の妻が私のピアノ演奏を初めて聞いたのは、仲人であるピアノ教師の発表会だったのですが、その時に演奏したのがこの「冬のロンド」で、こんな変な曲(笑)を弾く人と結婚することになろうとは、思ってもみなかったようです。でも、そんな経緯もから、この曲が私の人生にとってとても思い出深い大切な曲になったことは確かです。

音楽の話題も時々載せていますので、またアクセスして戴けると嬉しいです。音源のあるサーバーのアドレスも有り難うございました。
akinosuke | 2010/01/17 9:53 PM


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