往来物手習い

むかし寺子屋では師匠が書簡などを元に往来物とよばれる教科書をつくっていました。
寺子屋塾&プロジェクト・井上淳之典の日常と学びのプロセスを坦々と綴ります。


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ファシリテーション研修で頂いた質問への回答

6/9は、NPO法人・地域福祉サポートちたさんからのご依頼で、豊田市でファシリテーションの研修をさせていただきました。
 
昨年から介護保険制度が改められ、高齢者のための生活支援活動や介護予防活動を、地域の多様な主体(住民、民間事業所、NPO、社会福祉協議会、地縁組織、シルバー人材センターなど)が連携しながら推進していく態勢づくりが求められています。
 
豊田市では、「生活支援コーディネーター」を地域包括支援センターに配置し「協議体」を開催していくとして、地域包括支援センターのスタッフを対象に6回の研修が予定されているのですが、この協議体の設置や開催に関してファシリテーションの考え方が大切との判断から、6回シリーズの研修の1回分がファシリテーションの学習に充てられ、わたしにお声をかけて頂いたという次第です。
 
 今回の研修の時間枠は朝10:00〜16:30までの5時間半で、「聞くこと」と「書くこと」にスポットを当てたいつもの体験プログラムです。

久しぶりに47名という大人数での研修で、いつもホワイトボードにぺたぺた貼って使うフリップシートが使えないので、スキャナで取り込みプロジェクターに映し出す方式をとりました。

 また、いつもやっている6時間のプログラムを30分縮める必要があったことや、人数が多かったことなどの理由で、時間枠内で質疑応答の時間がほとんどとれなかったため、終了後のアンケートに質問を書いて頂き、後日回答をさせていただくことに。

以下、頂いたご質問とわたしの回答です。

 
 

 

Q1.会議内で進めていきたい内容とはちがう内容で進んでいってしまった場合はどのように進めていけばよいでしょうか。
 
A1.ご質問内容は「話し合いが横道にそれた場合の軌道修正をどうするか?」と解釈すればよいでしょうか? 場合によっては、意見百出して話し合いが活発であるとも受け取れますし、横道に逸れること自体は、必ずしも悪いことばかりではないので、「違う内容で進んでいる」と誰がどのタイミングで判断するのかというのは、なかなか一筋縄では言えない難しい問題を含んでいます。

たとえば、会議のテーマやゴールについて参加者がどこまで理解できているかということがあり、横道に反れるのは、反れるなりの理由があると認識することが大切でしょう。ガス抜きが必要なメンバーであるときには、会議開始前に近況報告や話したいことを話す時間を設け、進行にメリハリをつける工夫も必要かとおもいます。
 
ただ、会議開始時に確認しておくことで、横道に反れることを防げることはあるので、以下にそれを挙げてみます。

]辰傾腓Ε董璽泙離汽ぅ困和電か?
△匹海泙馬辰傾腓Δゴールの設定は妥当か?
,鉢△鯱辰傾腓Δ里鵬疉埖のないメンバーが揃っているか?
げ餤捗了時刻の確認、合意がなされているか?
ゲ餤弔鮨聞圓垢襯哀薀鵐疋襦璽襪漏稜Г気譴討い襪?
 →横道に反れるのが好きなメンバーが多いときなど、会議の冒頭で「テーマと関係ない意見を言わない」など釘を刺しておく
  ※グランドルールについてはこちらの記事など参考にしてください
横道に反れるのは´↓いきちんと確認されていないことが多いようです。またい廊´↓とのバランスで設定する必要がありますが、長ければ長いほど良いわけではなく、適度な緊張感を持続させるためにも時間配分を考慮する工夫は、進行上でも重要な要素です。

 銑イ施されていれば、メンバー一人ひとりに自覚が生まれやすいので、進行役やファシリテーターが強引に介入して軌道修正しなければならないような場面はほどんど生じないでしょうが、それでも横道に反れたときの工夫としては、6/9に実習したファシリテーショングラフィックで「パーキングロット」という手法がつかえます。
  ※パーキングロットの参考記事はこちら

 
 
      
Q2.出席者から均等に意見を出すためにはどうすればよいでしょうか。

A2.声の大きい人の意見が通ってしまったり、一人の人が延々と喋ってしまったりすることが往々にしてあるので、情報のサイズを揃える工夫が大事なわけですね。

たとえば、6/9の午前中に体験して頂いたインタビューゲームのように、アウトプットをB6カード1枚に統一することとか、ブレーンストーミング実習の冒頭で個人作業として5分間で気づきを付箋に書き出すとか、キッチンタイマーを鳴らして一人の発言時間を均等にするといったような工夫がそれにあたります。延々と喋る人が出ると事前に予想される場合は、Q1で書いたグランドルールの設定「発言は1人〜分以内」と制限時間を設けることも有効でしょう。

 
 
Q3.会議の出席者が高齢等で、ふせんや用紙などへ書き出したりする手法が難しいとき、そのような道具を使わない手法があれば知りたい。
 

A3.ご質問の意図を「意見をできるだけ多くの人から拾いたい」「意見が出なくて場が固まったときに場をほぐしたい」手法と理解したんですが、自分で書くことが難しい場合は、誰か書ける人に書いてもらうこともできますね。大勢いると話せないという人も少なくないので、意見を出すという場面のときであれば、隣同士で話してもらうとか、3〜4人の少ない人数で分かれて、テーマについて話してもらう時間を5分とか10分とか一定の時間で設けて、そこで出た意見をカードやワークシートに整理するやり方もできます。

意見を絞り込んでいく場面であれば、旗揚げアンケートとか、色紙を配って、色で意志表示をして貰うなどの工夫もあります。
※旗揚げアンケート参考記事はこちら

 
 
Q4.声の大きい人の意見が、誤った方向に進んだ時の対応方法。話をとめてもいいか?

A4.何を目的に、どんな内容の話し合いをしている場面か、与えられている制約条件などがこのご質問だけではわかりませんので、「話をとめてもいいか悪いか」という点については、状況次第でお答えのしようがないのですが、会議の時間が足らないということであれば、短い時間を有効活用して行えるようにすることや、声の大きい人の意見が誤った方向に行かないための予防策を講じることは可能で、Q1への回答がそのまま参考にしていただけるかとおもいます。
 
 

Q5.「ファシリテーション」という意味が、出る研修によって違うので混乱します。ファシリテーターとは‥礎者、∋焚饉圓箸亙未鵬餤弔料澗里鮓る人と考えていたが、この研修では、Jかりやすくする人(?)という意味でよかったでしょうか?
 
A5.本来の語義は「容易にする、促進する、楽にする≒easy」であることを押さえつつ、時代の変化にともないリーダーシップのあり方がトップダウン型からボトムアップ型に徐々に変化してきていることや、適用される範囲をふまえて柔軟に解釈ください。日本ではこの言葉が使われるようになって歴史がまだ浅く、しかも語義そのものは広い概念のため、どの範囲で用いるかによっても意味が微妙に異なり、現段階では固定した共通認識が得られていないと捉えて頂くのが妥当かとおもわれます。よってわたしのこの回答も正解とは言えず一個人の一見解にすぎません。

特定非営利活動法人 日本ファシリテーション協会の定義によれば、「人々の活動が容易にできるよう支援し、うまくことが運ぶように舵取りするのがファシリテーション」とあり、人の集まりに対しての働きかけ方を言っていることがわかります。その、人の集まりとは、会議であったり、会社組織であったり、地域社会であったりするわけですが、組織をファシリテートするという場合には、役職や肩書きなどの力関係やマネージメントの問題も関係してきますし、地域社会をファシリテートするといっても対象が広すぎてイメージしにくく、現実には会議のような具体的、日常的な限定された場面に関して言われることが大半なわけです。

司会者は、スポンサーを背負い、会議の中身に責任をもって進行する人で、まとめていこうとするリーダーシップの要素の強いアプローチであるのに対し、ファシリテーターは、プロセスに関わって、一人ひとりの意見が活かされ、まとまっていくようにはたらきかける、メンバーシップの要素の強いアプローチということはできますが、どちらが正しいということではありません。実際には司会者がファシリテーターを兼ねるケースも少なくなく、場面場面に応じた使い分けやバランス感覚が求められます。
 
posted by Akinosuke Inoue 23:59comments(0)trackbacks(0)pookmark


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