往来物手習い

むかし寺子屋では師匠が書簡などを元に往来物とよばれる教科書をつくっていました。
寺子屋塾&プロジェクト・井上淳之典の日常と学びのプロセスを坦々と綴ります。


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分数の約分プリントやり続けて4年になりました

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指導者の立場にあるわたしですが、

わたしもらくだメソッドのプリントで学習を続けています。
 

 

分数の約分のプリントをやり始めたのは2013年5月13日でしたので、

一昨日でちょうど丸4年になり、
一昨日に学習したプリントで2376枚目を数えます。
 

 

最初は同じプリントを180枚やる目的で始めたんですが、

そのときには4年も続くことになろうとは想像だにしませんでした。
 

 

2013年の1年間に180枚を学習し終え、

2014年の年明けすぐに書いたふりかえりの文章があります。
 

 

その後も学習が続いていることもあって、

結局公開するタイミングを逸してしまっていたんですが、

今日はそれをご紹介することにしました。
 

 

これを書いてから以後の気づきもまた
興味深いものがいろいろあったので、

いつかは総括して書いてみたいとおもっています。
 

 

♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪
 

 

らくだメソッド・算数小4−41(分数約分のまとめ)ふりかえり(2013.5.13〜12.28)

 

【この学習をはじめたきっかけ】

2014年は、らくだメソッドを用い始めて20周年を迎えます。このメソッドは、常に学習者の犧瓩鯢發彫りにするため、マニュアル的対応は通用しません。そのため、指導マニュアルのようなものが一切用意されていないのですが、この20年の間に300人以上の生徒と接するなかで、わたし自身も数え切れないほど多くのことを学んできました。

 

またその一方で、指導経験をつめば積むほど、その経験が却って邪魔をして、わかったつもりになってしまっているのではないか、ということも気になっていました。以前は、指導者対象の研修会が比較的頻繁に持たれていたのですが、最近はそういう機会も少ないので、今一度私自身原点に戻って学び直したいとおもったことが一番大きな動機です。つまり、このメソッドで学ぶことが、今のわたし自身にとっても大切な気づき、変化、成長を本当にもたらすのかどうか、20年を1つの節目として検証してみたいという想いがありました。
 

ただ、わたし自身は指導者ですから、らくだメソッドの学習は過去にひと通り終えています。それで、既に体験したやり方と同じやり方で学習するよりは、今までやったことのない新たなチャレンジをした方が良いと思ったのですが、そのためにどんな設定や枠組みが適切なのかと考えたとき、ふと浮かんだ言葉が「180枚同じプリントをやり続ける」でした。
 

らくだメソッドの説明をするときに、「何をどのように学ぶかについて、学習者が自分で決められる学習であり、自分でカリキュラムをつくれるメソッドである」ということをお伝えしています。そのことの大事さを説明する際、よくご紹介しているエピソードの1つに、同じプリントを180枚やり続けた生徒さんの話があります。それは、そのプリントを学習すると自分で決めたからこそできたのであって、もし人から強制される状況下であったなら、絶対にできない学習だからです。
 

でも、それは、わたしの教室で学んだ生徒の話でなく、他の教室の指導者から伝え聞いた、他の教室の生徒の話なのです。私自身もらくだメソッドの学習は「めやす時間内、ミス3個以内」であれば次のプリントに進んでOKというルールに従って学習したので、同じプリントを180枚やりつづけたという経験はないので、自分自身で実感していない単なる受け売り情報を語っているにすぎません。そこで、「もしわたしが同じプリントを180枚やり続けたとしたら、いったいどういうことが起きるだろうか?」と自分に対しての興味が沸いたのです。
 

【5/13の時点で決めたこと】
・1日1枚だけ。2枚以上はやらない
・毎日やり続けることだけにとらわれない
→毎日やれなかった時は、毎日やり続けたときと、間が空いたときとでどう違うのか、その間も2日空いたとき、3日空いたとき・・・とでどう違うかを知るチャンスと考える
・いろんな時間帯、いろんな環境でやってみることを大事にして、やり方を固定化しない
・180枚続けることをとりあえずの目標にする


【なぜ小4−41のプリントを選んだか】
ファシリテーションで最も難しいと言われているスキルのひとつに、合意形成の促進があります。AさんとBさんが意見の食い違いで対立しているとき、ファシリテーターがAさんの意見とBさんの意見に共通する要素を瞬時に見つけて両者が納得するような提案ができれば、合意形成が進むように思うのですが、なかなか簡単ではありません。

 

らくだメソッドの小4−41は、分数の約分のまとめのプリントで、問題が99問並んでいます。分数の約分問題を解くときの要所は、分子と分母の異なる2つの数字を見て、共通する最大の約数(因数)を見つけられるかどうかにかかっています。たとえば、38/95という分数を約分するときに、38と95の最大公約数を探るわけですが、共通因数19というのは素数ということもあり、なかなか思い浮かびません。あくまでアナロジーであり、仮説ではあるのですが、この19が瞬時に閃いて、38÷19=2、95÷19=5 → 2/5 という計算ができるようになることを異なったものの中に共通する要素を見つけられる能力の開発や、合意形成のファシリテーションスキルの向上にもつなげられないだろうか、ということです。
 

 

【学習プロセスで気づいたこと】
1枚のプリントをやり終えた時点で気づいたことは、すぐに学習記録表などに書きとめるようにして、1ヶ月に1回ぐらいの割で、それまでの学習をふりかえって総括するよう心がけ、時折facebookにもその内容を投稿していました。

 

 

ヽ惱する時間帯が遅くなるほど時間が長くかかり、ミスも増える
→「プリントやらないと・・・」という思いをひきずりながら夜まで1日過ごすより、早めに終わらせたほうがメンタル的にはスッキリする
→学習はなるべく早い時間帯に終わらせたほうが良い
→算数の問題を解くことはアタマの準備体操になる
→1日の始めにプリント1枚やることで、生活のリズムを自分でコントロールしやすい環境が生まれる

 

 

△燭箸┌影5分の学習でも、続けることで学習した時間の総和以上の効果が生まれてくる。
具体的に書くとすれば、50分の学習を1日でやるよりも、5分の学習を10日続けた方が同じ時間を使っていても効果が高いということです。
→勉強はかけた時間ではなく勉強する中味と姿勢、その質が問題。結局、時間よりも密度が大事だということ。

 

 

A瓩やろうと時間を意識すればするほど時間は長くかかって遅くなる。時間を気にせずに学習するために時間を計っている。
→スピードアップを目的にせず、意識せず、淡々とやることがスピードアップの秘訣
→「学力向上は、学びの結果として現れてきたものであって目的ではない。学力向上の最大の秘訣は学力向上を目的としないことにある。」(佐藤学)

 

 

た卦録が出る前は不調(スランプ)が続くことが多い
→記録は少しずつ短くなるのでなく、行ったり来たりしながらのプロセスを経て、ある日突然のように新記録が出ることが多い
→「夜の終わりに朝が来る。しかし夜明け直前の闇は最も暗い」(むのたけじ)

 

 

テ韻献廛螢鵐箸魴り返しやっていても間違える問題はだいたい同じ
→どの問題で間違えやすいかを分析することで、思考パターンや癖がよくわかる
→人はだいたいいつも同じ問題で躓いている

 

 

Φい魎砲瓩襪箸垢阿坊覯未箸靴童修譴
100枚を超えるあたりから、ミスがほとんどなくなってきたのですが、それでもたまに1つ2つ間違えることがあり、思わぬ処に伏兵が隠れていたという感じがしました。150枚を超えたあたりになってようやく百発百中という状態になってきたのですが、それでも時間を急ぐとミスをすることには変わりはありませんでした。
→油断大敵!伏兵に注意!

 

 

С惱場所(環境)や筆記具、着る服、身につけるものなどに影響を受ける
これらの影響は、「めやす時間内、ミス3つ以内であれば次に進む」という通常のスタイルで学習している範囲ではほとんどで自覚できません。しかし、時間を短くするチャレンジをやっていると限界が近づくにつれて次第に敏感になってきます。
筆記具はエンピツが一番よいようです。また、すべてのエンピツを試したわけではないのですが、トンボのMONOやステッドラーが良い感触でした。


【月別の学習状況 学習日数と学習率】

  月  学習日数/日   学習率
----------------------------------------------------
 5月   18/ 19  94.7%
 6月   25/ 30  83.3%
 7月   22/ 31  71.0%
 8月   26/ 31  83.9%
 9月   24/ 30  80.0%
10月   10/ 31  51.6%
11月   22/ 30  73.3%
12月   27/ 28  96.4%
----------------------------------------------------
 全体  180/230  78.2%


【全体をふりかえって】
●今の自分の状態が自分で把握できる
7月上旬に尿路結石を起こしたときには、痛みのあまりさすがにプリントをやろうという気持ちが起きませんでした。たった2〜3分の短い時間であっても、プリントを1枚やるということを1日の生活に組み込んでおくことで、結果的にプリントがやれなくても、プリントをやることに対する自分の気持ちの向かい具合がどうかがわかるし、プリントをやってみれば、その日のアタマの働き具合というか、自分のコンディションが自分で掴めます。このことは生活や仕事全般に影響が及ぶもので、うまく活用すればメリットがとても大きいように感じました。

 

 

●セルフラーニングはひとりではできない
らくだメソッドを開発した平井氏が「セルフラーニングは自学自習ではない」「セルフラーニングはひとりではできない」「犲己決定瓩箸蓮⊆分ひとりだけで勝手に決めないこと」ということを言っているんですが、伴走者として見守る指導者の役割はとても重要なのです。指導者の立場にある私がこうしてfacebookで学習プロセスを公開し、180枚続けると宣言してしまうと、途中で「や〜めた!」とは絶対に言えません。やらざるを得ない状況に自分を置くこと、根性や意志、努力に頼るのではなく、そういうしくみをつくる工夫をすることの大事さを改めて思いました。
つまり、寺子屋塾の教室で指導者の私が果たしている伴走者の役割を、私の学習の場合はfacebookのお友達の皆さんが果たして下さったわけで、こうして続けられたのは、見守ってくださった皆さんのお陰です。

 

posted by Akinosuke Inoue 23:54comments(0)trackbacks(0)pookmark


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