往来物手習い

むかし寺子屋では師匠が書簡などを元に往来物とよばれる教科書をつくっていました。
寺子屋塾&プロジェクト・井上淳之典の日常と学びのプロセスを坦々と綴ります。


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むかし書いたコラム記事から(その13)

第13回 「自分が幸せになることって悪いこと?」

先回は「情けは人のためならず」と題して「ボランティアは自分のために」と書いてみたのですが、今回もそのことに関連する話です。
自分のためにと言っても、別に他人のためのボランティアももちろんOKで、自分のためか人のためかというのは、結局は後か先かだけの問題だと思うんですね。
利己主義は悪いことのように言われることが多いのですが、よくよく考えてみると、純粋に自分のためだけってありえないし、人間はだれでも人と人とのつながりの中で生きているわけだから、自分が豊かになって幸せになれば、その結果としてまわりの人も幸せになっていくはずで、自分自身を幸せにすることって、そんなに悪いことじゃないと思うんですが、どうでしょうか?
今までさんざん「人のことは思いやりなさい、人のために尽くしなさい、利己主義はダメです」と言われ続けて来ているのにもかかわらず、現実の世相は、背筋に寒々としたものを感じることが多いのですが、結局そういう言葉がたんなる標語やスローガン、タテマエに終わっているからだと思うんです。
だから、標語をお題目のように唱えるより、もっと自分自身のことを考えて、自分のためになることをやっていいんじゃないんでしょうか。
自分を勇気づけたり、励ましたりすることって、そんなに簡単じゃないですよ。
昨年の秋に名古屋で
『えんとこ』(伊勢真一監督作品)という映画を見る機会がありました。
24時間介護が必要な寝たきりの障害者、遠藤滋さんをとりまく人々を淡々と撮ったドキュメンタリーなのですが、彼らの多くは可哀想な遠藤さんを助けるために集まってくるのでなく、介護している彼らが、逆に遠藤さんに助けられているのです。
寝たきりでなにもできない遠藤さんが、なにもできないからこそ、そのことでたくさんの人々に生きる喜びを与える役割を果たしていて、そんな姿をスクリーンの外で見ている私まで元気が出てきました。
遠藤さんは、「君が今やりたいことを、まっすぐにひとに伝えながら、出来ないことは、みんなに手伝ってもらって、堂々と生きてゆきなさい。だって、君はひとりで勝手に生きてゆくことなんてできないだろう?」と皆さんに問いかけていたのですが、さて、あなたはどう答えますか?(2000.4.2)
posted by Akinosuke Inoue 01:16comments(0)trackbacks(0)pookmark


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