往来物手習い

むかし寺子屋では師匠が書簡などを元に往来物とよばれる教科書をつくっていました。
寺子屋塾&プロジェクト・井上淳之典の日常と学びのプロセスを坦々と綴ります。


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むかし書いたコラム記事から(その24)

第24回 「べてるの家に学ぶこと」

さて、夏がやってきました。

涼しさを求めて北海道へ旅する方も多いと思いますが、えりも岬は皆さん知っていますよね?

そこから西へ20kmほど離れたところに浦河町という小さな港町があります。

浦河は競走馬の産地としても知られていますが、そこに「べてるの家」があるのをご存知ですか?
べてるの家とは、精神障害・アルコール中毒など心に病を抱えた人々のグループホーム、共同作業所、お店などの総称です。有限会社の形で運営されている福祉ショップべてるは、行政からの援助を極力受けずに、経済的な自立をめざしていて、
社長さんも代表者もれっきとした現役の精神障害者です。

何と1998年度は、福祉ショップべてるの売上金額が1億円を越えたそうですが、その秘密はいったいどこにあるのでしょうか。
最初にべてるのことを知人から紹介された頃の私は、精神障害や福祉には全く関心がありませんでした。

弱い人々を救おうとする福祉やボランティア活動に対して何となく偽善的なイメージをもっていて、好きではなかったからです。
新潟に住む私の知人が、「べてるの家」のことを映画にするという話を初めて聞いたときには、どうしてなのか理由が全然わからなかったのですが、その映画を見てやっと納得が行ったのでした。

べてるの人々は、精神障害を克服して社会復帰をめざすのでも、偏見や差別と闘うのでもなく、障害や病気を持ったままで楽しく明るく生きられるような社会を作ろうとしているのでした。
堂々と名前や病名を名乗り、イキイキと生活しているスクリーンの彼らを見ているうちに、私たちの社会っていったい何だろうと考え込んでしまいました。

精神障害の問題は、実は「精神病」とか「精神障害者」というレッテルを張ることで解決したつもりになり、健常者だと思い込んでいる私たち自身の問題だったのです。

「障害者の社会復帰から、健常者の社会復帰へ!」べてるの存在は私の価値観を大きく揺さぶるものでしたが、べてるには医療、福祉、まちづくり、企業経営という面のみならず、これからの私たちの生き方や社会の在り方を考えるヒントがたくさん詰まっていると感じるようになりました。
スクリーンだけでなくべてるの人々と交流できる場を!ということで始まった「べてるの祭り」も5回目となり、今年は11月3〜4日に開催を目指し準備をすすめています。

今のところ映画ベリーオーディナリーピープル予告編の新作「降りて行く生き方」のお披露目などが予定されていますが、何が飛び出すかは、お・た・の・し・み!です。(2000.7.3)

posted by Akinosuke Inoue 12:23comments(0)trackbacks(0)pookmark


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